DDCoMS-PCoMS-RISME 計算物質科学セミナーシリーズ 2025

―計算科学によるデータ創出、活用にむけて―

概要: 本セミナーシリーズでは、計算科学による大規模な材料データの創出例や活用例、計算物質科学とデータ科学の融合研究例を紹介する。 2025年度も「計算材料科学が主導するデータ駆動型研究手法の開発とマテリアル革新(DDCoMS)」のメンバーによる事例紹介や、データ科学を活用した材料研究の事例紹介を行う。 また、それらの研究手法を理論とアプリの実習から学ぶハンズオン付き講習会も開催する。

なお、本セミナーシリーズは、
1)「スーパーコンピュータ「富岳」成果創出加速プログラム」(2023-2025年度)に採択された「富岳」のみが可能なデータ駆動型マテリアル研究手法の開発を目的とした「計算材料科学が主導するデータ駆動型研究手法の開発とマテリアル革新(DDCoMS)」、
2)「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業(次世代研究者プログラム)」(2015-2022年度)への採択を受けて設立され、計算物質科学分野の学生や若手研究者の支援を進めてきた「計算物質科学人材育成コンソーシアム(PCoMS)」、
3)「データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト(DxMT)」(2022-2030年度)の拠点の一つで、多様な極限環境下で長期使用可能な構造材料とその利用技術のデータ駆動型開発を行う「極限環境対応構造材料研究拠点(RISME)」
の共催で実施する。

次回(2025/11/25)は、「第2回 DDCoMS-PCoMS-RISME 計算物質科学セミナーシリーズ 2025 & PCoMS次世代研究者セミナー」として2つのセミナーを合同開催(ハイブリッド方式)とし、4名の若手研究者の方に講演いただく。「計算物質科学セミナーシリーズ2025」としては、DDCoMS サブ課題A 構造材料(東北大拠点)の新里 秀平助教(大阪大学)に加え、オンサイト開催地の東北大学金属材料研究所から福島 省吾 助教、森 仁志 助教の3名、「PCoMS次世代研究者セミナー」としては、新屋 ひかり 主任研究員(産業技術総合研究所)を講師に迎え、多様な話題を提供いただく。

日程 / date : 【開催済み】(第1回:応用レベル)2025年11月4日(火) 16:15 - 17:45(最長18:15)
        / 16:15 - 17:45(-18:15 at the latest), Nov. 4 (Tue), 2025 【第1回詳細はこちら】

(第2回:応用レベル)2025年11月25日(火) 13:00 - 17:30 / 13:00 - 17:30, Nov. 25 (Tue), 2025
【注:第2回はPCoMS次世代研究者セミナーとの合同開催。詳細はこちら】
     
申込方法と〆切 /
How to apply and
the deadline :

現在、次回(2025/11/25)「第2回 DDCoMS-PCoMS-RISME 計算物質科学セミナーシリーズ 2025 & PCoMS次世代研究者セミナー」(ハイブリッド開催)のお申し込みが可能です。
なお、現地会場の定員が20名と少ないため、先着順で定員に達した場合は早めに募集を締め切る場合があります。ご注意ください。
第2回(2025/11/25開講分)は2025/11/21(金)13:00迄まで[申込みフォーム] よりお申し込みください。
11月21日(金)15:00までに接続方法をご案内します。

上記のGoogle formでの登録が出来ない場合は、 [申込フォーム(エクセル版)] をダウンロードしていただき、必要事項を記載の上、11月21日(金)13:00までに
PCoMS事務局[ pcoms=grp.tohoku.ac.jp (=を@に変更してください。)]宛て 
にお送りください。

Please apply on [the application form] by Nov. 21(Fri) 13:00, 2025 for the 2nd seminar on Nov. 25(Tue) [hybrid style]. We will inform you how to connect to the online virtual seminar by 15:00 on Nov. 21(Fri).
Please note that due to the limited capacity of 20 persons at the on-site venue, registration may close early on a first-come, first-served basis once capacity is reached.

開催方法 /
meeting style:

[第1回]
オンライン開催(事前登録制)
/ online virtual meetings (Pre-registration required)

[第2回PCoMS-RISME-CCMS 計算物質科学セミナーシリーズ2025 & PCoMS次世代研究者セミナー]
ハイブリッド開催(事前登録制)
オンサイト会場:東北大学 金属材料研究所 国際教育研究棟2階セミナー室(片平キャンパス)
        〒980-8577宮城県仙台市青葉区片平2-1-1
アクセスマップ:http://www.imr.tohoku.ac.jp/ja/about/location.html
/ hybrid (online virtual & in-person meetings) [Pre-registration required]
On-site Venue: Seminar Room on 2nd floor, International Center of Educational Research, Institute for Materials Research, Katahira Campus, Tohoku University
access map:http://www.imr.tohoku.ac.jp/en/about/location.html
言語 / language : 日本語 / Japanese  

講師 / lecturers : 【終了】「第1回」[2025/11/4]:応用レベル
木野 日織 教授(統計数理研究所)/ KINO Hiori (Professor, The Institute of Statistical Mathematics)

「第2回 DDCoMS-PCoMS-RISME計算物質科学セミナーシリーズ2025> & PCoMS次世代研究者セミナー」
[2025/11/25]:応用レベル
新里 秀平 助教(大阪大学)/ SHINZATO Shuhei (Assistant professor,Osaka University)
福島 省吾 助教(東北大学)/FUKUSHIMA Shogo (Assistant Professor, Tohoku University)
森 仁志 助教(東北大学)/ MORI Hitoshi (Assistant Professor, Tohoku University)
新屋 ひかり 主任研究員(産業技術総合研究所)/ SHINYA Hikari (Research Scientist, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST))


主な対象 : (基礎レベル)計算物質科学が専門外のMC学生以上 (理工系MC以上)
(応用レベル)DC学生、PD、研究者、計算物質科学が専門のMC学生 (応用レベルのみの回は簡単な導入部有)

基礎レベル・応用レベルは独立な内容を取り扱います。部分的な受講も可能です。

参加費 /
registration fee :
無料 / free

プログラム
/ program :
                                
【「第1回」詳細情報はこちら】 ダウンロード用プログラム[第1回] (ver. 2025/10/23)

【「第2回 DDCoMS-PCoMS-RISME計算物質科学セミナーシリーズ2025> & PCoMS次世代研究者セミナー」
  詳細情報はこちら】
ダウンロード用プログラム[第2回] (ver. 2025/11/07)




第2回 DDCoMS-PCoMS-RISME計算物質科学セミナーシリーズ2025

PCoMS次世代研究者セミナー
<応用レベル>
2025年11月25日(火)13:00 - 17:30

<スケジュール>
13:00-13:05   開会挨拶(久保 百司 東北大学 教授)

「第2回 DDCoMS-PCoMS-RISME計算物質科学セミナーシリーズ2025」
13:05-14:05   新里 秀平 助教(大阪大学大学院基礎工学研究科)
「機械学習原子間相互作用を用いた構造材料の変形・破壊解析」

14:05-15:05   福島 省吾 助教(東北大学金属材料研究所)
「近年の機械学習ポテンシャルの発展と計算材料分野における実用例」」

15:05-15:25   休憩

15:25-16:25   森 仁志 助教(東北大学金属材料研究所)
「電子―フォノン相互作用の効率的な理論計算とその応用」

「PCoMS次世代研究者セミナー」
15:25-16:25   新屋 ひかり 主任研究員(国立研究開発法人 産業技術総合研究所マテリアルDX研究センター)
「第一原理計算による強磁性半導体の理論研究」

13:00-13:05   閉会挨拶(川勝 年洋 東北大学 教授)



<講演概要>
「機械学習原子間相互作用を用いた構造材料の変形・破壊解析」
 新里 秀平 助教(大阪大学大学院基礎工学研究科)
 材料研究では、機械学習を用いた新材料探索の進展や原子レベルの観察技術の発達により、原子シミュレーションの重要性が一段と高まっている。原子シミュレーションでは原子間相互作用のモデル化が重要だが、従来の経験的ポテンシャルは大規模計算が可能な一方で定量性に限界があり、第一原理計算は高精度ながら計算コストが高く、扱える空間・時間スケールに制約がある。こうした計算コストと信頼性のトレードオフは、近年の機械学習モデルを用いた原子間相互作用記述、いわゆる機械学習ポテンシャルの発展により克服されつつある。本講演では、機械学習原子間相互作用の基礎と特徴を概説し、構造材料の変形・破壊解析への応用事例を紹介する。

「近年の機械学習ポテンシャルの発展と計算材料分野における実用例」」
 福島 省吾 助教(東北大学金属材料研究所)
 分子動力学法は、原子レベルでの化学反応や構造変化を追跡できる数値シミュレーション手法であり、材料物性の理解や設計に広く用いられている。
 近年では、機械学習によって高速化と高精度化を同時に実現する試みが注目されている。
 特に、グラフニューラルネットワークを基盤として原子間相互作用を記述する機械学習ポテンシャルは、 従来の手法よりも高い精度と汎用性を示し、活発に開発が進められている。
 本講演では、機械学習ポテンシャルの近年の発展動向と、計算材料科学分野における具体的な応用例について概説する。

「電子―フォノン相互作用の効率的な理論計算とその応用」
 森 仁志 助教(東北大学金属材料研究所)
 私たちが日常的に使っている金属や半導体の中では、原子が常に小さく振動している。この振動は量子力学的には「フォノン」と呼ばれ、熱や音の伝わり方を決めるだけでなく、電子の動きにも大きく影響を与える。電子がフォノンと強く結びつくと、電気抵抗が変化したり、超伝導のように電気抵抗がゼロになる特別な状態が現れたりする。
 近年、計算機の発達により、原子や電子の運動を量子力学の原理から直接計算できる「第一原理計算」という手法が大きく発展してきた。この手法を用いることで、フォノンと電子の相互作用をミクロなレベルで理解し、材料の性質を定量的に予測することが可能となっている。
 本講演では、まずフォノンとは何か、電子とどのように関係しているのかといった基礎的な概念を説明する。続いて、電子―フォノン相互作用を第一原理的に解析するための計算手法と、我々が開発してきた高効率な計算法について紹介する。さらに、それらを応用して得られた電子輸送特性や超伝導の計算例を示し、理論と実験をつなぐ近年の進展および今後の展望について議論する。

「第一原理計算による強磁性半導体の理論研究」
 新屋 ひかり 主任研究員(国立研究開発法人 産業技術総合研究所マテリアルDX研究センター)
強磁性半導体はその名のとおり強磁性体の性質を併せ持つ半導体であり、将来のスピントロニクスデバイスを担う有望な候補材料として精力的に研究が進められている。本講演では、強磁性半導体を対象とした第一原理計算による二つの研究例を紹介する。
(1) 高温強磁性半導体であるInFeSbに着目し、第一原理計算に基づいて強磁性発現のメカニズムを解明し、より高性能な材料設計の指針を探索した。
(2) GaMnAsでは、伝導特性が特異な温度依存性を示すことが知られている。そこで、有限温度における第一原理計算を実施し、伝導特性の評価を行うことで、その起源の解明を行った。





第1回 DDCoMS-PCoMS-RISME計算物質科学セミナーシリーズ2025
2025年11月4日(火)16:15 - 17:45(最長18:15)
<応用レベル>
「材料科学における非等長データの解析:
 頻出パターンマイニングと置換・証拠理論の活用 」

講師  木野 日織 教授(統計数理研究所)*DDCoMS サブ課題B磁性材料(NIMS拠点)メンバー
    / KINO Hiori (Professor, The Institute of Statistical Mathematics)

 材料科学の実験や測定で得られるデータは、しばしば欠損を含み、また変数の長さも揃わない「非等長データ」となります。大学で研究や実験に取り組む学生にとっても、このようなデータをどう扱うかは重要な課題と思います。本講演では、その課題に対応する二つのアプローチを紹介します。第一は「頻出パターンマイニング」を利用する方法です。欠損を含むデータから繰り返し現れる規則性を抽出し、材料の性質や挙動を分類するために活用します。第二は「置換を利用する手法」で、非等長な変数を適切に対応づけることにより推薦システムとして機能させるアプローチです。特に、複数の実験データや文献データといった異なる情報源を統合する際には、証拠理論(デンプスター=シェーファー理論)を利用し、不確実性を考慮しながら信頼できる推薦を導きます。講演ではPythonコードを交え、理論から実装までを具体例を通じて紹介します。

参考文献:木野 日織, ダム ヒョウ-チ 著「改訂版 Pythonではじめるマテリアルズインフォマティクス: ChatGPTを活用しよう」 (近代科学社Digital) 第6章




問合せ先 /
contact address:
Professional development Consortium for Computational Materials Scientists (PCoMS)
PCoMS office
(pcoms=grp.tohoku.ac.jp : Please replace = with @.)
東北大学金属材料研究所 計算物質科学人材育成コンソーシアム(PCoMS)事務局
メール: pcoms=grp.tohoku.ac.jp (=を@に変更してください。)

共催 / cohosts : 計算材料科学が主導するデータ駆動型研究手法の開発とマテリアル革新(DDCoMS)
  / Data Driven Computational Materials Science(DDCoMS)

計算物質科学人材育成コンソーシアム(PCoMS)
  / Professional development Consortium for Computational Materials Scientists(PCoMS)
極限環境対応構造材料研究拠点(RISME)
  / Research Initiative of Structural Materials for Extreme Environment(RISME)


協賛 /Cooperation : 東北大学 金属材料研究所 計算材料学センター
  /Center for Computational Materials Science, Institute for Materials Research, Tohoku University

計算物質科学協議会
  /Computational Materials Science Form
データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト データ連携部会
一般財団法人 高度情報科学技術研究機構(RIST)



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